西洋人と東洋人

若き数学者のアメリカ (新潮文庫)

若き数学者のアメリカ (新潮文庫)

こういう本を読んだ。
内容は、29歳?の数学者のアメリカ生活を綴ったエッセイだが、
中に一つだけ気に入った箇所があった。
文庫版でいうと、322ページから

 アメリカに滞在する日本人で、自分の日本性を除去することにより、アメリカに融け込もうとする、あるいは融け込んだつもりの者がかなりいるが、傍から見ると、大変に滑稽である。…(中略)…
 アメリカに融和するには、日本性を維持したまま、ただ気持ちを開いて彼らに接するのが近道である。気持ちを開くというのは易しいことではないが、それさえ出来れば既にアメリカ人と違いはない。


これをブラジル人に置き換えても全く同じことが言えると思った。
外国に来ると、強烈に普段意識していない日本人や日本性を意識するが、
それをどれだけ開いて出せるか、が国際交流というものだと思う。


それともう一つ、ここでブラジル人に必ず言われて印象に残っている事。
ブラジルの良いところ、ラテン文化の良さを散々語った後に
(こっちはうんうん言って聞いていた)
搾り出すように「そりゃ、東洋に比べたら文化の深さは違うけど」
という一言。これは一定以上教養のある新興国*1
の人たち共有の感情であり、劣等感じゃないだろうか。


そういう人に対して、
「日本ではこうだ」という違いに対して、
理由を「伝統的」とか「歴史」に紐つけて説明する事は、
彼らからしてみたら説明としても、感情的にも、「ずるい」事なんだと思う。


彼らが理解できるのは論理なので、
色々な日本的なことを論理的に説明してあげるのが良いのかと思う。

*1:アメリカ、カナダなど