就活生とか新社会人とかへ

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

友達にあげる手前、一応もう一回読んでおこうと思って
高校時代に夢中になった本を再読してみた。



昔読んでなるほど!と思った秀美君の行動や悩みは殆どが
俺の中ではそれなりの答えが出てしまっている問題で
ちょっと意地悪で文章が上手い人なら誰でも書けそうな感じだった。
つまり、名著ではないと思った。
それどころか、この本で目に付く「セックス」って言葉が何回出てくるのか数えてやろうとすら思った。
使いすぎだろ、セックスって言葉。


でも、最終章の「僕は勉強ができる」
ここは今でも俺には光って見えた

「焦燥というのよ」
「〜(中略)大きな服を着せられた子供がむずかるようなものよ」

 ひずみが出来たのだ。ぼくは、今、そう感じていた。自分自身とそれを包むものの間にある空気が明らかに膨張しているのだ。どうして、それを埋めることが出来るのだろう。

この感じって何ていうか学生最後の春休みにも味わったなあ、
ということを思い出させてくれたのだ。
これから大きな服を着せられて、それに何となく不安と不快を感じながら、
時間が流れていくというのを確実に実感しながら、
それでも「学生戻りてぇ」なんて思ってしまったな。

就活やってたときに「何でこんなことやってるんだろう、ちょっと立ち止まって考えたいぞ」って思ってしまったな。

あのときに読んでれば「ははぁ、これが焦燥か」と思ったりもしただろな。
もっと勉強しておけばよかった、戻りたーいと思う人へ、
自称勉強ができない主人公の時田秀美くんは彼なりの良い答えを教えてくれている。

ぼくは、ここで、確かに勉強をしていた、と今になって思う。ここを離れることになって初めて、そのことに気付く。

キザだねぇ。